キャラ相性類型
キャラの相性の良し悪しから、その作品の面白い/面白くないを説明できることがかなり多い。
キャラ単体での魅力も重要だが、そのキャラ単体だけでは面白さが際立たないケースも多い。
例えばクレしんのしんのすけは無二の個性を持つが、他のまともな大人達を隣に配置することでようやくその破天荒さが活きてくる。
というわけで、キャラとキャラの相性の類型について思いつく限りまとめてみる。
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善人と悪人の協力関係
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例:
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ブレイキング・バッドのウォルターとチンピラ
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十二国記の図南の翼のヒロインと頑丘
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全裸監督の主人公とヤクザ
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闇金ウシジマくんのウシジマくんと新入社員千秋
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効能:
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真面目と不真面目間のギャップが互いに引き出されやすい
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善人が悪事に手を出したり、悪人が善行に協力するきっかけをつくりやすい
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真面目キャラとお調子者
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例:
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効能:
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ツンデレまたは真面目キャラのツンまたは真面目の皮を剥ぐ、あるいは、感情的にし、その別の内面を引き出させる
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ボケキャラとツッコミキャラ
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例:
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このすばの主人公と仲間の女キャラ
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その他多数
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効能:
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もはや説明不要。ボケが活きるためにツッコミは必要。
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無感情キャラと感情キャラ
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例:
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ヴァイオレット・エヴァーガーデンのヒロインと10話の子供
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十二国記のタイキとケイキ
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楽園追放のフロンティアセッターとディンゴ
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ばらかもんの主人公となる
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クレイマー・クレイマーの主人公とその子供
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効能:
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無感情なキャラが感情に触れることで、無感情キャラのぶっきらぼうさ強調される
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天然キャラとしっかり者
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真面目キャラと狂人の逃れられない関係
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例:
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惡の華の主人公と仲村
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効能:
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狂人の予想外行動により真面目キャラの真面目の皮を剥いだり、混乱により真面目さが取り乱されるギャップを引き起こしやすい
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真面目系敵役とお調子者正義
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例:
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効能:
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真面目さとお調子者のふざけた感じのギャップにより、シリアスなムードを高めつつもお調子者正義側のおふざけ感を強調できる。
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ツンデレ女子と普通男子
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例:
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俺妹の主人公と妹
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ゼロの使い魔のヒロインと主人公
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その他多数
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効能:
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男性主人公の性格的特徴を排除することで男性読者が重ねやすくしつつ、みんな大好きなツンデレとふれあえる
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主人公の性格が凡庸なためヒロインとの接点をキャラの性格相性から与えることは難しい
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例:
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理系が恋に落ちたので証明してみた
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効能:
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ツンを貫くためや素直な本心を隠すために理論武装で相手を攻撃する。攻撃された方もまた同様の反応をとるため際限なくやり取りを続けられる
最近メイドインアビスというアニメを見返したが、キャラ相性の重要性を痛感した。
世界観を除けば、正直、このアニメは10話までは退屈だった。
その理由は、リコとレグのキャラ相性がよくないせいだと確信している。
この二人は、両方とも根が真面目で、相手に冗談を言ってからかうことができない。
現実の人間関係でもそうだが、根が真面目すぎる者同士では冗談を言ってからかうスキができず、相手に深入りするきっかけを与えない。
リコの天然属性とレグの真面目属性、というところだけを見れば、天然ボケ言動に冷静ツッコミを入れるというよくある安定した構図が成り立ちそうではある。しかし、やはりリコの根が真面目で良い子なため互いにからかいの攻撃をできない。
10話以降はナナチが登場し、キャラの相性が作る面白さが劇的に改善される。
ナナチはレグとは出会って早々にレグをからかっている。その後では、レグも感情的に言い返すシーンもあり、キャラの間に本音のやり取りが発生している。
「僕の時より嫌そうにしていない」「お前の触り方がいやらしいからだろー!」のところの絡みはすごくいい。
相手が冗談を言って攻撃してくれると、言われた側も安心して冗談を言って攻撃できる。
こういうのが言い合える相性というのは、ストーリーでは決まらず、二者の性格から必然的に決まるものだと思う。
現実でもそう。いくら長い付き合いがあっても、いつまでたっても冗談が言えない関係もあれば、逆に、相性が良ければ出会った初日から打ち解ける関係もある。
そういう意味では、どういう性格の二者であればどういう盛り上がりが生まれるかは事前に予測し、作り込みやすい。